ナーザの兄の部屋は、窓から大きく港が見えた。
窓枠に腰かけて、シルフィスは窓の外の風景を見ている。
夕日が海に沈んでいく。雲も、波も、街並みも、黄金色に輝いて、船は光に縁取られた黒い影となる。
考えることなど、ほとんどなかった。もともとギルドに入ったのはそこに様々な情報が集まるからだ。その中に『黒白の書』の手がかりがあるかもしれないと考えたからだ。少なくとも、ひとりで当てずっぽうに探しまわるより、ずっと可能性は高い。
四年かかった。が、ついに、手がかりが引っ掛かった。
──雷帝復活。『黒白の書』を持つ男。レイシアとエルラド。
エルラドには何の問題もない。王宮にわざわざつまらない報告をして、幸せな家庭を壊す必要なんかどこにもない。
ナーザは良い子だ。
明日、レイシアに発とう。
ギルドを抜けたと見做され、追われることになるくらい、たいしたことじゃない。いつの間にか芽生えてしまったギルドとメンバーたちへの信頼や愛着なんて、たいしたことじゃない。裏切り者の称号がもうひとつ増えたって、どうということもない。
窓枠に腰かけて、シルフィスは窓の外の風景を見ている。
夕日が海に沈んでいく。雲も、波も、街並みも、黄金色に輝いて、船は光に縁取られた黒い影となる。
考えることなど、ほとんどなかった。もともとギルドに入ったのはそこに様々な情報が集まるからだ。その中に『黒白の書』の手がかりがあるかもしれないと考えたからだ。少なくとも、ひとりで当てずっぽうに探しまわるより、ずっと可能性は高い。
四年かかった。が、ついに、手がかりが引っ掛かった。
──雷帝復活。『黒白の書』を持つ男。レイシアとエルラド。
エルラドには何の問題もない。王宮にわざわざつまらない報告をして、幸せな家庭を壊す必要なんかどこにもない。
ナーザは良い子だ。
明日、レイシアに発とう。
ギルドを抜けたと見做され、追われることになるくらい、たいしたことじゃない。いつの間にか芽生えてしまったギルドとメンバーたちへの信頼や愛着なんて、たいしたことじゃない。裏切り者の称号がもうひとつ増えたって、どうということもない。