ユーリーの顔が難しくなる。
「でも、それよりも、本当に欲しいものがあなたの心の奥底にある。けれど、それは決して手に入らない。……ううん、違うな。それは探したり求めたりできないもの、求めてはいけないものだと、あなたは思っている?」
 本当に欲しいもの。
 今度はすぐに笑えなかった。求めてはいけないもの。
 ユーリーは困ったように自分を見ている。気遣うような目で。きっと後ろで占いを見ているナーザたちも困った顔をしているに違いない。聞いてはいけないことを聞いてしまったんじゃないか、と。
 そんなふうに思わせてはいけない。
 シルフィスは、ふう、と息をついた。
「参りました。実は、道ならぬ恋をしているんです。相手の女性にその気はなく、諦めなくてはならないと、頭では分かっているのですけど、思いが断ち切れなくて」
 片手を胸に当てて。憂いも苦悩も顔に出して。