一枚のカードをユーリーは表にした。もう一枚。……全部で十枚のカードが彼女の手で返された。
中に王位を表すカードがあって、シルフィスの頬がわずか緊張する。
ユーリーはカードを見つめ、やがて、困惑したような視線をシルフィスに向けた。
「探しものは、『黒白の書』ですか?」
動揺した。ずばりと言い当てられるとは思ってなかった。
が、すぐに軽く笑った。世の中、『黒白の書』に関心のある輩は少なくない。なにしろ凄い賞金がかかっているのだから。
「すごい。当たりです。旅をしているといろんな話を聞きますから。もし、運良く見つけたら、まさに一攫千金ですよね。……なぜ、わかりました?」
「以前『黒白の書』の行方を占おうとしたときと、同じ感じがあったから。目の前に、黒い靄がかかるような」
これは──まずったかな、シルフィスは心の中で呟く。
気軽に占いを頼む相手ではなかったかもしれない。世話になった礼とはいえ、マクリーンが彼女に占いを教えたということは、彼女にそれだけの才能を認めたということだ。
「ごめんなさいね。だから、見つかるか見つからないか、わからない。でも、もしかしたら、出会うかも」
「出会う?」
「そう。不思議ね。見つかる、というより、出会う、って感じがする」
心臓が、重く鼓動した。──姫王の夢見の二晩目の夢。雷帝のそばで『黒白の書』を持つ男。
中に王位を表すカードがあって、シルフィスの頬がわずか緊張する。
ユーリーはカードを見つめ、やがて、困惑したような視線をシルフィスに向けた。
「探しものは、『黒白の書』ですか?」
動揺した。ずばりと言い当てられるとは思ってなかった。
が、すぐに軽く笑った。世の中、『黒白の書』に関心のある輩は少なくない。なにしろ凄い賞金がかかっているのだから。
「すごい。当たりです。旅をしているといろんな話を聞きますから。もし、運良く見つけたら、まさに一攫千金ですよね。……なぜ、わかりました?」
「以前『黒白の書』の行方を占おうとしたときと、同じ感じがあったから。目の前に、黒い靄がかかるような」
これは──まずったかな、シルフィスは心の中で呟く。
気軽に占いを頼む相手ではなかったかもしれない。世話になった礼とはいえ、マクリーンが彼女に占いを教えたということは、彼女にそれだけの才能を認めたということだ。
「ごめんなさいね。だから、見つかるか見つからないか、わからない。でも、もしかしたら、出会うかも」
「出会う?」
「そう。不思議ね。見つかる、というより、出会う、って感じがする」
心臓が、重く鼓動した。──姫王の夢見の二晩目の夢。雷帝のそばで『黒白の書』を持つ男。