「ただいま、母さん」
にっ、と笑ったナーザに、
「おかえり!」
そっくりな笑顔が返る。
髪の色は父親譲りだが、どうやらナーザは母親似らしい。
顔立ちもだが、快活そうな雰囲気がよく似ている。
母親はナーザに近づき、肩に手を置いた。
「背、伸びた?」
「うん。あっ」
不意に何かを思いついたように、ナーザは母親から離れ一方の壁に背中をつけた。リシュナがふわふわと宙を漂い、ナーザの頭の上を覗きこむ。
「まだまだね」
そう言われ、ナーザは残念そうにため息をつく。
何やっているのだろう──という疑問が顔に出ていたのだろう、ユーリーが笑いながら話しかけてきた。
「上の兄と背比べしてるんですよ。上の子は船に乗ってるんですけど、帰ったときに壁に印をつけていって……。ごめんなさいね、お客さんをほっといて。奥で主人に聞いたんですけど、占いをご希望でしたよね?」
「え、あ、はい」
少しうろたえてしまった。仲良い家族の何でもない風景が、眩しくて。
「何を占えばいいかしら」
ユーリーは机の向こう側に座り、シルフィスは促されるままに手前の椅子に腰を下ろす。
やばいなあ、と思っていた。
何か、すっかり、調べるとか探るとかの気持ちが萎えている。さっき雷撃を見せられたときは一応ひやりとするものもあったのだが、ナーザに関しては、もう、絶対大丈夫、という気しかしない。この町にこの家族じゃあ、雷帝として暴走するどころか、ぐれる心配すらないんじゃないだろうか。
にっ、と笑ったナーザに、
「おかえり!」
そっくりな笑顔が返る。
髪の色は父親譲りだが、どうやらナーザは母親似らしい。
顔立ちもだが、快活そうな雰囲気がよく似ている。
母親はナーザに近づき、肩に手を置いた。
「背、伸びた?」
「うん。あっ」
不意に何かを思いついたように、ナーザは母親から離れ一方の壁に背中をつけた。リシュナがふわふわと宙を漂い、ナーザの頭の上を覗きこむ。
「まだまだね」
そう言われ、ナーザは残念そうにため息をつく。
何やっているのだろう──という疑問が顔に出ていたのだろう、ユーリーが笑いながら話しかけてきた。
「上の兄と背比べしてるんですよ。上の子は船に乗ってるんですけど、帰ったときに壁に印をつけていって……。ごめんなさいね、お客さんをほっといて。奥で主人に聞いたんですけど、占いをご希望でしたよね?」
「え、あ、はい」
少しうろたえてしまった。仲良い家族の何でもない風景が、眩しくて。
「何を占えばいいかしら」
ユーリーは机の向こう側に座り、シルフィスは促されるままに手前の椅子に腰を下ろす。
やばいなあ、と思っていた。
何か、すっかり、調べるとか探るとかの気持ちが萎えている。さっき雷撃を見せられたときは一応ひやりとするものもあったのだが、ナーザに関しては、もう、絶対大丈夫、という気しかしない。この町にこの家族じゃあ、雷帝として暴走するどころか、ぐれる心配すらないんじゃないだろうか。