隅の机に頬杖をついていた少女が、勢いよく立ち上がっていた。
「お兄ちゃん!」
その勢いのまま駆け寄ってきて、けれど、彼女が抱き締めたのは、兄のナーザではなく袋からふわりと浮き出てきたリシュナだった。
「おかえり、リシュナ!」
「ただいま、ルチェ。恋人はできた?」
「全然! 今年も港のお祭りには女の子同士で行くことになりそうよ」
「ばーか。おまえみたいなガキに、恋人なんてできるわけねーだろ」
そう言ったナーザにあかんべして、少女はリシュナから手を離し、今度は店の奥のドアに駆けて行く。
何とも元気な少女だ。ルチェ、といったっけ? バタンと奥のドアを開け、大きな声で言った。
「お母さん! お兄ちゃん、帰って来た!」
ややあって、ひとりの女がドアから現れた。
正統の魔女らしく、黒い長衣を着た女だった。明るい褐色の長い髪を背中でひとつに結んでいる。
「お兄ちゃん!」
その勢いのまま駆け寄ってきて、けれど、彼女が抱き締めたのは、兄のナーザではなく袋からふわりと浮き出てきたリシュナだった。
「おかえり、リシュナ!」
「ただいま、ルチェ。恋人はできた?」
「全然! 今年も港のお祭りには女の子同士で行くことになりそうよ」
「ばーか。おまえみたいなガキに、恋人なんてできるわけねーだろ」
そう言ったナーザにあかんべして、少女はリシュナから手を離し、今度は店の奥のドアに駆けて行く。
何とも元気な少女だ。ルチェ、といったっけ? バタンと奥のドアを開け、大きな声で言った。
「お母さん! お兄ちゃん、帰って来た!」
ややあって、ひとりの女がドアから現れた。
正統の魔女らしく、黒い長衣を着た女だった。明るい褐色の長い髪を背中でひとつに結んでいる。