「失礼なことを聞くかもしれないけど、この町のひとは、飛頭に慣れているのかな？」
　ふたたび歩き始めたナーザに尋ねると、
「失礼だと思うなら、聞かなきゃいいでしょ」
　すかさずリシュナに突っ込まれた。
「んー、たぶん、珍しいものに慣れてんじゃねーのかな」
　が、それには構わず、ナーザは屈託なく答えをくれる。
「ていうか、世の中には珍しいものがあることを、知ってるカンジ？　港からいろんな町のいろんなものが入ってくるから。でもって、珍しいものが、大好きなんだ」
　坂を半分ほど下ったところに、ナーザの家はあった。
「ナーザ！」
　箱を抱えてドアを開けようと苦心していた背の高い男が、こちらを見て、驚いたように声を上げた。ナーザと同じ金色の髪が揺れる。父親だと、すぐにわかった。