☆
広場から離れ、人通りの絶えた狭い路地の入口に、シルフィスは所在なく佇んでいた。
『銀の子猫』への道を教えてくれた男の説明は、『路地から先はちょっと入り組んでいるので、そこでまた誰かに道順を教えてもらった方がいい』というものだった。
それで、道を聞く相手を探しているのだが、誰も辺りを通らない。誰かが通りかかるのを待つ間、することがないので、考え事をしている。
雷帝復活が、さきほど思いついた転生である可能性は──ある。
あくまで可能性だが。
もし、雷帝復活が転生を意味しているなら──人は魂を浄化され、前世の記憶を失って転生するのだと言われている。
転生したならば、かの暴君の魂も清められたということだろうか。
だとしたら、あまり問題ない気もする。しかし、稀に前世を覚えていたり思い出す者もいるわけだし、前世と同じ過ちを繰り返す者も多いらしい。実際、浄化された魂が生まれてくる割に、世の中の悪事が減っている様子はまったくない。
たとえば──生まれ変わった雷帝の魂が、前世の記憶を甦らせ、あるいは、与えられた異能に酔って暴走する。
ない、とは言えない。
だが、転生だとすると、夢見の夢に現れた『黒白の書』を持つ男がどう関わるのかが、よくわからなくなる。
まあ、夢見の夢は、ほとんど当たるのであって、全部が当たるわけではない。今回は、ふたごの三夜目の夢は一致しなかったりしていて、いつにも増して不確定な要素が多いのだが……。
広場から離れ、人通りの絶えた狭い路地の入口に、シルフィスは所在なく佇んでいた。
『銀の子猫』への道を教えてくれた男の説明は、『路地から先はちょっと入り組んでいるので、そこでまた誰かに道順を教えてもらった方がいい』というものだった。
それで、道を聞く相手を探しているのだが、誰も辺りを通らない。誰かが通りかかるのを待つ間、することがないので、考え事をしている。
雷帝復活が、さきほど思いついた転生である可能性は──ある。
あくまで可能性だが。
もし、雷帝復活が転生を意味しているなら──人は魂を浄化され、前世の記憶を失って転生するのだと言われている。
転生したならば、かの暴君の魂も清められたということだろうか。
だとしたら、あまり問題ない気もする。しかし、稀に前世を覚えていたり思い出す者もいるわけだし、前世と同じ過ちを繰り返す者も多いらしい。実際、浄化された魂が生まれてくる割に、世の中の悪事が減っている様子はまったくない。
たとえば──生まれ変わった雷帝の魂が、前世の記憶を甦らせ、あるいは、与えられた異能に酔って暴走する。
ない、とは言えない。
だが、転生だとすると、夢見の夢に現れた『黒白の書』を持つ男がどう関わるのかが、よくわからなくなる。
まあ、夢見の夢は、ほとんど当たるのであって、全部が当たるわけではない。今回は、ふたごの三夜目の夢は一致しなかったりしていて、いつにも増して不確定な要素が多いのだが……。