「───そういえば、エルラドの報告をしっかり聞いてなかったな」
不意に思い出したようにそう言って、クルカムは、椅子に腰を下ろしたシルフィスに向き直った。
「特に何もありませんでしたよ。僕が間抜けにも崖から落ちてケガをしたくらいで」
と、シルフィスは視線を逸らす。
胸に、ナーザの顔が浮かんでいた。リシュナを失った直後の自失した顔だ。心配したほどには手こずらないで、『銀の子猫』に帰すことはできたけれど。
引きずっているだろうな、彼。
続くクルカムの言葉は、シルフィスにとって思いがけないものだった。
「実は、今回の事件に、雷撃の異能者が噛んだという情報がある。状況から、ディアナム王子に力を貸して復活した雷帝と戦ったのではないか、と推察されるのだが」
心臓が跳ねて、逸らしていた視線をクルカムに戻していた。
ナーザのことだ。まさか、雷帝の転生者だと言うことが知られて……?
「へえ。そうなんですか。それが?」
どきどきしながら、関心なさそうな調子で聞いてみる。
クルカムは、にやり、と笑った。
「そりゃあ、もちろん────」
不意に思い出したようにそう言って、クルカムは、椅子に腰を下ろしたシルフィスに向き直った。
「特に何もありませんでしたよ。僕が間抜けにも崖から落ちてケガをしたくらいで」
と、シルフィスは視線を逸らす。
胸に、ナーザの顔が浮かんでいた。リシュナを失った直後の自失した顔だ。心配したほどには手こずらないで、『銀の子猫』に帰すことはできたけれど。
引きずっているだろうな、彼。
続くクルカムの言葉は、シルフィスにとって思いがけないものだった。
「実は、今回の事件に、雷撃の異能者が噛んだという情報がある。状況から、ディアナム王子に力を貸して復活した雷帝と戦ったのではないか、と推察されるのだが」
心臓が跳ねて、逸らしていた視線をクルカムに戻していた。
ナーザのことだ。まさか、雷帝の転生者だと言うことが知られて……?
「へえ。そうなんですか。それが?」
どきどきしながら、関心なさそうな調子で聞いてみる。
クルカムは、にやり、と笑った。
「そりゃあ、もちろん────」