そして、ふと会話が途切れたとき、リシュナが静かに聞いた。
「それで、あたしに何を話したいの」
 シルフィスの顔から笑みが消えた。
「窓からナーザを見送っていたら、あんたが建物の隙間に隠れているのが見えた。ナーザがいなくなるのを待ってここへ来たんだから、あたしだけに話があるんでしょう?」
 ……ギルド戦士ともあろう者が、上方への注意を怠ったとは、迂闊な。
 シルフィスは窓に目をやってそこから見える空をしばらく眺めたあと、正面からリシュナを見た。
「君の呪いを解く方法がわかった」
 リシュナは黙ってシルフィスを見つめ返す。
「王の魔法使いから、その方法を言付かって来たんだ」
 続けてそう言うと、リシュナの頬が柔らかに緩んだ。
「あの魔法使いなら、きっとできると思っていたわ」
「君の呪いは解ける」
 シルフィスは、ひとつ、深く、呼吸する。リシュナから目を逸らさずに。
「だけど、その結果について、魔法使いは……」
 何度も考え、思い描いた場面なのに、そこで言い淀んでしまった。
 気持ちが苦しくて、喉が詰まる。