「あら」
水色の目を大きく見開いて、イストはカウンターの中で立ち上がった。シルフィスはイストに微笑みかけ、店のドアを閉める。
「お久しぶりです、ミストレス」
店内には正面の大きな窓から午後の日差しが差し込んでいる。
客の姿はない。ギルドの仕事もあるので昼間から店は開けているが、客のほとんどは仕事を終えて軽く一杯やる人々だと、ここへ来る前に町の人に聞いた。
「悪いわね。今、ナーザ、出ているのよ」
それもさっき建物の陰から確認した。リシュナを入れる袋を肩に掛けていないことも。
「すぐ戻りますか」
「ツケを回収に行ったのよね。ツケの客みんなが請求金額をすんなり払ってくれれば、そんなに時間はかからないんだけど」
「多少時間がかかっても、僕は大丈夫なんですが。待たせてもらってもいいでしょうか」
「もちろん。ああ、リシュナなら、二階にいるわよ」
「じゃ、ナーザが戻るまでリシュナに相手をしてもらいます。上がっていいですか?」
「どうぞ。廊下の突き当たりよ」
イストはにこやかに手のひらを階段に向ける。シルフィスは軽く会釈して彼女の前を通り過ぎる。
淡々とした態度がありがたかった。何も聞かないでいてくれて。
イストに教えられた部屋のドアは開いていた。ドアの開け閉めが難しいリシュナのために開け放してあるのかもしれない。
水色の目を大きく見開いて、イストはカウンターの中で立ち上がった。シルフィスはイストに微笑みかけ、店のドアを閉める。
「お久しぶりです、ミストレス」
店内には正面の大きな窓から午後の日差しが差し込んでいる。
客の姿はない。ギルドの仕事もあるので昼間から店は開けているが、客のほとんどは仕事を終えて軽く一杯やる人々だと、ここへ来る前に町の人に聞いた。
「悪いわね。今、ナーザ、出ているのよ」
それもさっき建物の陰から確認した。リシュナを入れる袋を肩に掛けていないことも。
「すぐ戻りますか」
「ツケを回収に行ったのよね。ツケの客みんなが請求金額をすんなり払ってくれれば、そんなに時間はかからないんだけど」
「多少時間がかかっても、僕は大丈夫なんですが。待たせてもらってもいいでしょうか」
「もちろん。ああ、リシュナなら、二階にいるわよ」
「じゃ、ナーザが戻るまでリシュナに相手をしてもらいます。上がっていいですか?」
「どうぞ。廊下の突き当たりよ」
イストはにこやかに手のひらを階段に向ける。シルフィスは軽く会釈して彼女の前を通り過ぎる。
淡々とした態度がありがたかった。何も聞かないでいてくれて。
イストに教えられた部屋のドアは開いていた。ドアの開け閉めが難しいリシュナのために開け放してあるのかもしれない。