☆
ナーザは痛みも疲れも忘れて体を起こし、目を大きく開いて空を見上げていた。
城跡から伸びた白い光芒は、槍のように鋭く黒い雲を貫いていた。貫かれた個所から、すべての方向へ眩い光が細く走って、空の闇がひび割れる。
「……解呪?」
光を見上げた魔法使いが、口走るように呟いた。
シルフィスだ、とナーザは心の中で快哉を叫んだ。シルフィスがやったんだ。伯父だという魔法使いを倒して。
一拍の間のあと。
ガラスが割れるように闇が砕けた。輝く光が力強く雲を圧して差し込んだ。闇は破片となって落ちる途中で透き通り、光の中で消え失せる。
丘の上に太陽が昇っていた。目眩のするような青空が広がった。
太陽の光に晒されて、窪地のあちこちで死体兵の体が崩れていく。
雷帝はゆっくりと空を見上げていた。太陽の光を遮ろうとするように残った腕を目の上にかざした。
その腕も、ぼろり、と地に落ちる──。
そして、王の率いる軍勢が、きらめく陽光を浴びて窪地の縁に姿を現していた。
ナーザは痛みも疲れも忘れて体を起こし、目を大きく開いて空を見上げていた。
城跡から伸びた白い光芒は、槍のように鋭く黒い雲を貫いていた。貫かれた個所から、すべての方向へ眩い光が細く走って、空の闇がひび割れる。
「……解呪?」
光を見上げた魔法使いが、口走るように呟いた。
シルフィスだ、とナーザは心の中で快哉を叫んだ。シルフィスがやったんだ。伯父だという魔法使いを倒して。
一拍の間のあと。
ガラスが割れるように闇が砕けた。輝く光が力強く雲を圧して差し込んだ。闇は破片となって落ちる途中で透き通り、光の中で消え失せる。
丘の上に太陽が昇っていた。目眩のするような青空が広がった。
太陽の光に晒されて、窪地のあちこちで死体兵の体が崩れていく。
雷帝はゆっくりと空を見上げていた。太陽の光を遮ろうとするように残った腕を目の上にかざした。
その腕も、ぼろり、と地に落ちる──。
そして、王の率いる軍勢が、きらめく陽光を浴びて窪地の縁に姿を現していた。