「……ごめん……リシュ……ひとりで……帰れる……よね?」
何とかそれだけ言えた。リシュナは緑の目でシルフィスをにらみつける。
「あんたが一緒じゃなきゃ、帰らない」
酷いことを言う。休みたいのに。シルフィスは笑った。笑ったつもりだったが、頬が少しひきつっただけだった。
肘を地面につき、体を起こした。這うように少しずつ進んだ。その間も、血が、じわじわと裂けた衣服に染みを広げていく。
抜け穴に手が届くと、リシュナに言った。
「……先に……」
「あなたが先よ。じゃなきゃ動かない」
では、もう少し頑張ろう。
抜け穴に体を入れた。体を引き摺ると、傷が擦れて叫びそうに痛かったが、すぐに感覚が失くなった。
何だか眠い。後ろでリシュナがずっと何か叫んでいるから、それでも前に這っていく。
不意に穴が終わった。穴から通路へ、落ちるように体を出すと、もう動けなかった。
「シルフィス!」
耳元でリシュナの声がする。
青い目を薄く開けて、シルフィスはリシュナを見た。何か言っておくことはないかな、と考えたけど何も浮かばない。
シルフィスは目を閉じた。
少し眠ろう。夢の中なら、きっとエディアにも会える───。
何とかそれだけ言えた。リシュナは緑の目でシルフィスをにらみつける。
「あんたが一緒じゃなきゃ、帰らない」
酷いことを言う。休みたいのに。シルフィスは笑った。笑ったつもりだったが、頬が少しひきつっただけだった。
肘を地面につき、体を起こした。這うように少しずつ進んだ。その間も、血が、じわじわと裂けた衣服に染みを広げていく。
抜け穴に手が届くと、リシュナに言った。
「……先に……」
「あなたが先よ。じゃなきゃ動かない」
では、もう少し頑張ろう。
抜け穴に体を入れた。体を引き摺ると、傷が擦れて叫びそうに痛かったが、すぐに感覚が失くなった。
何だか眠い。後ろでリシュナがずっと何か叫んでいるから、それでも前に這っていく。
不意に穴が終わった。穴から通路へ、落ちるように体を出すと、もう動けなかった。
「シルフィス!」
耳元でリシュナの声がする。
青い目を薄く開けて、シルフィスはリシュナを見た。何か言っておくことはないかな、と考えたけど何も浮かばない。
シルフィスは目を閉じた。
少し眠ろう。夢の中なら、きっとエディアにも会える───。