一拍遅れて、戦士たちの動きが停止した。
 武器が手から落ち、全員が膝から崩れた。
 悲鳴と呻きが辺りの空間を満たした。意識を取り戻すと同時に、負った怪我の苦痛に襲われて。
 シルフィスは動かない男の衣服で手のひらを拭った。小刀に付着した血も。最初に倒したふたりに近づき、喉から手裏剣を抜いた。それも彼らの服で丁寧に拭いて手甲にしまう。
 ナーザは壁に向かって体をふたつに折っていた。ナーザの周囲には、黒焦げの死体が四つ転がっている。
 人の焼ける臭いが辺りに漂う。
「地下へはどう行けばいい、ナーザ?」
 返事はすぐにはなかった。
 ナーザは目隠ししていた布を取った。袋から水筒を取り出して水を口に含み、ぺっ、と吐き出した。空になった水筒を投げ捨て、体を真っ直ぐにしてこちらを向いた。
 嘔吐したことをどうこう言うつもりはなかった。批判も、慰めも。問題は進めるかどうかで、ナーザはシルフィスにはっきりと頷いてみせた。