胸の奥がキュッとなる。同時に、三つ下のあどけなさの残る主の姫の笑顔が頭を過ぎった。

伽藍様……私のせいで。私があらぬ現場を目撃してしまったがばかりに、架威に目を付けられ、巻き込まれるように命を危機に晒されてしまった。

なのに……。



「『この私の証言は、舞空の冤罪が晴れる有利な証拠にはならないかもしれませんが、敢えて言わせて下さい。舞空は私に毒を盛って命を奪うような事は絶対に致しません。私室に毒瓶が転がっていたという証拠があるようですが、片時も私から離れることなく、作法の指導をしてくれた彼女が悪事に手を染めるなど、傍にいた私が気付かないわけがありません。何なら、この証拠の術陣を持って、この私自身が証言台に立っても構いません』」



……なのに、私のために証拠となる自らの肌を公に晒したり、後援の言付けをしてくれるなんて。

13歳の姫が、裁きの場で証言をするだなんて、如何に勇気のいることか。



「『法院の裁判関係者様、この事件に関してはどうかご再考願います。一刻も早く事件の真相を導き出し、然るべき判決を下して頂きますよう心よりお願い申し上げます』……との、ことです」