「どこって、城に決まってるだろう。城の池に落ちたんだ。紅姫は。」
「紅姫って・・・誰・・・?」
鉄平に聞くと、鉄平はさらに首をかしげながら答える。

「そなたの名前だ。紅姫。幼き頃の名前は咲姫。」
「・・・何言って・・・いたっ・・・」
感じていた胸の痛みが急激にひどくなり、胸をわしづかみにして体を丸めると鉄平は私の体を抱きしめるようにして背中をさすり始めた。
「いつもの発作で池に落ちてしまったようだ。」
「王が来て助けてくださらなかったら命も危なかったのですよ」
「・・・王・・・?」
状況が読めないまま胸の痛みだけがまして、私は思わず目を閉じて胸の痛みに胸を抱えた。

「ひとまず医軍に見せよう。」
鉄平は状況が読めないままの私の体を抱き上げてすたすたと歩き始める。

「鉄平・・・」
自分でも驚くほど弱い声でささやく私の声に、鉄平は「寝ぼけているのか?私は鉄王と呼ばれはしているが、てっぺい・・・?とは?」と私の方を見る。