「今日はここまで。もう戻りましょう。昨日の夜は王から寵愛を受けてお疲れでしょうから。」
「・・・え?」
「婚姻の儀の前に、自室に王を連れ込むとは、はしたないですよ。」
耳まで赤くしながら言う富さんに私も恥ずかしくて自分の顔が熱くなる。

「ごめんなさい」
「お気持ちはわかります。ですが、お控えくださいよ?」
「・・・はい・・・」
私は足元に視線を向けたまま、富さんについて自分の部屋に戻った。


「さて、私との国歴の勉学に励みましょう。うれしいですぞ、姫様からそのように言っていただけること。」
御影さんは私に張り切ってこの世界の事、国のことを教えてくれた。

歴史の一環で、この世界の鉄王の両親の話や、私の両親の話になり、皆、若くして命を落としていることが分かった。

この世界の平均寿命は45歳程度。
60歳まで生きれば長寿と祝われるらしい。

生きることが当たり前ではない世界。
今を大切にしようと心に誓いながら私は鉄平の帰りを待った。