私が口に運ぶたびに、うれしそうな目で私を見る鉄平。

見た目は見覚えがなくても、口に運ぶ食材はどれも味付けが私好みのもので安心した。

「あと少し食べるんだ。」
それでもやっぱり食べられる量は少なくて、むしろ前の私の方が量を食べられていたように思う。
「もう限界です・・・胃袋が・・・」
「じゃあ、最後にこれを。」
そう言って鉄平は私の口元に魚を運ぶ。

周りで食事の世話係をしていた人たちが驚いたように鉄平を見ている。
きっと王がこうして誰かの口元に食事を運ぶなんて許されないことなのだろうと察した私は慌てて差し出された魚を頬張った。

「よし、えらいぞ。」
鉄平は気にするそぶりなど見せずに、私の頭を撫でた。