「バカな真似を・・・」
私を抱きしめるその人は、はじめて見るような動揺した表情をしている。
不安そうで、切なく、苦しそうに険しい顔をしている。

その人はほかの誰でもない。

鉄王と呼ばれる、この国の王だ。

「どうしてそうなんだ!」
私を抱きしめたまま、鉄王は怒鳴る。
感情をむき出しにして。

「どうして生きようとしない!私と共に生きようとしないんだ!一緒に、一緒に生きようと約束しただろう!」
怒鳴られているのに、その言葉のひとつひとつから、私への想いや愛が溢れて伝わってくる。

ちゃんと伝わって、心に響く。