「咲、お願いだ。ゆっくりと息をして心沈めてくれ。大丈夫。大丈夫だから。」
鉄王の声が不安そうだ。

その時医軍が私たちの元へ来た。
「紅妃、脈をとらせていただきます。」
鉄王が少し体を動かし、医軍が私の脈をとろうとする。

「息・・・できな・・・」
過呼吸が治まらず、手足が少ししびれて来たことを感じながら私は鉄王の服をギュッと握る。

「鷹姫を拘束しろ。家臣たちも同じだ。」
低い声で近づいてきた兵に指示を出す鉄王。

きっと鷹姫の家臣の誰かが私を襲おうとしたのだろう・・・
そこまでの状況はつかめていた。