「咲っ!」
余裕のない声で鉄王が慌ただしく私の部屋に入ってくる。

すぐに体を起こそうとすると、部屋に入ったばかりの鉄王は私に駆け寄り、再び私の起こしかけた体を布団に戻した。

「倒れたと聞いて慌てたぞ。何があった?」
「少しめまいがしただけです。申し訳ありません、お忙しいのに。」
鉄王は相変わらず忙しい。
菊姫の死後も、菊姫の国で起きている戦いを何とか収めようと尽力しながら、兵たちの回復を待っている状態だ。
かなり憔悴していた鉄王はすっかり体調も、見た目も回復しさすがの王という器だと周囲も改めて実感をする速さで役目を果たし始めた。
「胸の痛みは?」
「ありません。いつもとは違って・・・」
最近の体調には私もよくわからない症状のものが多い。
眠気に、だるさに、吐き気に・・・