「私は今の咲が好きだ」
そう言いながら、本当の幼かったときからずっと一緒だった”咲”がどこにいるのか、探しているのだろうと思う。

「咲さんに会いたい?」
不安になってつい漏らした言葉に、鉄王は私の方をまっすぐに見た。

いつだって私の他愛もない話を、鉄王は真剣に、まっすぐ聞いてくれる。

「咲はそなたの中に眠っているのか、はたまた別の世界にいるのか・・・私にも理解できないことが多い。正直戸惑ってはいる。」
「・・・」
無理もない。

私は今もよく鉄王が私の話を信じてくれたと思っている。
自分の経験していないことを、よくここまで受け入れてくれているとも思う。