ーー『…小夏、隙だらけ。そんな顔、誰にでも見せない方がいい』ーー

あれは、一体どういう意味だったんだろう…。


あれから柳部長とは特に会話することもなく、
最後はなぜか蔭山部長の音頭で一本締めをして、歓送迎会兼忘年会はお開きになった。

飲まないと言っているのに二次会へと誘う先輩たちを、これまた見事な営業スマイルでさらりとかわしながら一足早く戦線離脱した柳部長。

私も一緒に帰ろうと言ってくれる美鈴先輩と千葉先輩に、お手洗いに寄ってからここのホテルでフロントをしている同期に会って帰るのでお構いなく!と、車で送ると言われた時から考えていた嘘八百を並べて別れた。

同期がいるのは本当だけど、わざわざ会いに行くほど仲の良い同期ではない。

しばらくお手洗いに篭り、そろそろ大丈夫かな、とそっとドアを開けると、さっき柳部長がいたのと同じ所に千葉先輩がいた。