…熱かった。
お酒を飲んでないはずのイチさんの手のひらは、びっくりするくらい熱かった。

その熱を逃さないように、私はそっと自分の右の手のひらを頬に当てた。




ーー後ろ髪を引かれながら個室に戻ると、柳部長の周りにハーレムを作っていた先輩たちが今度は蔭山部長の周りにハーレムを作っていた。

みんなもうすっかり出来上がっているな…

「緒原、オレンジジュース頼んどいたから、飲みな」

千葉先輩は笠原先輩の元から帰って来ていた。それともあちらには行かなかったのか。
ありがとうございます、と受け取ってストローからちぅーっと飲んだ。

それを見ていた千葉先輩が、なぜか顔を赤くしてまた私の頭をうりうりしようとしたから、

「…先輩!縮むから!」

と咄嗟に避けてしまった。普段なら別にされるがままだけど、何だか今はさっきの柳部長の顔と言葉がチラついてしまったんだ。