「…千葉先輩…ああ、あのイケメンくんね」

「でもちょっとした知り合いってことで誤魔化したので、お隣さんだということはくれぐれも内密に…」

「…別に隠さなくても良くない?」

「…いやいやいや、イチさんあなたすごい人気なんです。まだ来て半日しか経ってないですけど、気付いてました?営業部に他の課の女子社員たちがイチさんを一目見ようとやって来ていたことに!隣に住んでるなんてことがバレたら私、確実に妬まれるか家に押し掛けられるか殺されます!」

小声で反論する。
そうなのだ、がむしゃらにパソコンに向かっていた私にも分かるくらい朝から女子が営業部の入り口に押し寄せていた。
いや、みんな仕事して、と思うけど、異動初日、しかもたった半日で社内の女子たちを虜にするその顔が罪なのだ。
日本一の大学の偏差値に相当するくらい、いやそれ以上の顔面偏差値レベル、恐るべし…

「大げさ…」