少し離れたかと思うと目と鼻の先には陸斗の整った顔。
眼差しは優しく、でもあたしを射貫いて逃がさない。
もう、ホント好き。
何も考えられなくて、心からの気持ちだけが湧き上がって来て……。
あたしは初めて、自分からキスをした。
あたしも自分で驚いたけれど、それよりも陸斗が驚いていた。
目をまん丸に見開いて、それから優しく細められる。
「お前からキスしてくれんの、初めてだな?」
「ぅ、うん……」
今更ながら照れてきて、目を泳がせてしまう。
「はは、灯里キョドりすぎ」
そう笑うと、陸斗はチュッと触れるだけのキスをする。
「やっぱりキス一日一回は無理だよな? 何度だって、したくなる」
その約束も最近じゃあ守れなくなってきたから意味はないかもしれない。
「一日一回の制限、無くそうぜ?」
そしてまた唇を合わせる。
離れると、あたしは「そうだね」という了承の言葉しか出せなかった。
そんな日をはさみつつ、文化祭の準備は進められて行った。