お母さんに手直しをしてもらいながら浴衣を着ていく。

 メイクアップはすでに済ませた。

 肌はより白く見えるようにトーンアップして、アイメイクも切れ長な目に見えるようにしている。

 髪はアップにして、うなじを出す。
 後毛(おくれげ)が少し色っぽく見せてくれる。


 濃い紺色に肌の白さが映えていた。


 うん、この浴衣にして良かった。


 鏡で確認して満足すると、あたしは家に来ていたさくらちゃんに向き直った。

「あたしはOKだよ。さくらちゃんはどう?」

「うん、いい感じ。おばさん、ありがとうございました」

 菊模様の浴衣に身を包み、ふわふわの髪は高いところでお団子になっている。
 そこに飾られた帯と同じ色の(かんざし)がシャラシャラと揺れて大人っぽくも可愛い。


「良いのよ。こういうのも好きだから」

 お礼を言われたお母さんはそう言うと、「じゃあ行ってらっしゃい」と送り出してくれた。