「でも俺着方知らねぇし……」

「だからこの後で練習するんでしょう?」

 悪あがきの様にグチグチ言う陸斗にちょっと呆れる。


 諦めが悪すぎじゃない?

 それとも、そんなに浴衣着るの嫌なのかな?


 何て考えていると……。


「ん? あれ? 日高?」
「あ、灯里ちゃん?」

 あたしと陸斗の名前を呼ぶ声が耳に届いた。


 声の方を見るとそこには良く知った顔がいる。

「あれ? さくらちゃんと……花田くん?」

 二人だけでショッピングモールにいるなんて……。


「二人もデート?」

 自然とその言葉が口から出ていた。
 それくらい二人の雰囲気も自然だったから。

 でもそれに慌てたのはさくらちゃん。

「で、デートって言うか! その、花火大会の浴衣買いに来ただけで!!」

 買い物に来ただけでも異性と二人きりで来たならデートで間違いないと思うけれど……。
 というか、さくらちゃん達も浴衣買いに来たんだ。