「あれ? 美智留ちゃん、早かったね?」

 用事があるからとまだ学校にいたはずだ。

 どんな用事かは分からないけれど、それほど時間は経っていないと思う。


「そこまで時間かかることでもなかったから。……で、あたしの家の前で何口論してんの?」

 言われて初めてすぐ近くに美智留ちゃんの家(けん)店があることに気付いた。

 あたしは中に入ったことは無いけれど、場所だけは聞いていたので知っている。


「ええっと……見ての通り?」

 疑問形で答えたけれど、そうとしか言えない。

 見ての通り、杉沢さんが来たせいで陸斗があたしの番犬状態だ。

 しかもまだ抱きしめられているのであたしは動けない。


 改めてあたし達三人を見た美智留ちゃんは、大きく溜息をついた。

「ちょっと待ってて。あたしも行くわ」

「え?」

 行くって、一緒に? どうして? あたし達帰るだけだよ?

 疑問が浮かぶけれど、美智留ちゃんは返事も聞かずに一度家の方に歩いて行く。

 そしてほんの数分で出て来る。