「いったいなぁ。灯里ちゃん、君の彼氏乱暴すぎるよ? やっぱりこんな乱暴者止めて俺にしときな?」

「乱暴なのはてめぇ限定だ。口説くな!」

「うわぁ、口も悪いよ。顔以外良いところないんじゃない?」

「てめぇに言われたくねぇよ」


「……」


 段々あたしそっちのけで二人がケンカし始める。

 あ、これこの間と同じだ。


 あたしを取り合っているんだけど、本人を通り越して二人だけでケンカしている構図。

 この状態ってむしろあたし必要なのかな? って思う。


 でも今回は助けを求められる人がいない。

 いや、前回も結局助けてくれた人はいなかったけれど……。


 思い返し遠い目になるあたし。

 あたしを間に挟んだまま口喧嘩を続ける二人。


 ちょっとしたカオスになっていると、後方から声が掛けられた。


「……あんた達、こんなところで何やってるの?」

 聞き覚えのある声に頭を動かしてその人物を見る。


 そこには呆れた眼差しであたし達三人を見る美智留ちゃんがいた。