これは、ポジティブ思考と言うものなんだろうか……。

 確かに人生まだまだこれからだし、何があるかは分からないけれど。

 でも付き合ったばかりで特に大きな問題もないあたし達が分かれるとかあり得ないし。


 それに……。


「それを言うなら、あたし達が別れる前に貴方が心変わりするかも知れないでしょう?」

 そういう可能性だってある。
 というか、そっちの可能性の方が高い。

 あたしの言葉に杉沢さんは、一度切れ長の目をこれでもかと開いた後吹き出して笑った。

「くっはは! そうだね。そういう事もあるか」

 ひとしきり笑った彼は「でも」とあたしを真っ直ぐに見る。


「こんなに本気になった子は君が初めてなんだけどな?」

 そして触れようと手を伸ばしてきた。

 勿論、その手は陸斗によって弾かれたけれど。