「ま、午後からは本当焦ったけどね……」

　と、美智留ちゃんがあたしを見た。


「足止めしようとしてるのに、灯里は付いて行くって言うしさ」

「ご、ごめん」

　今度はあたしが謝る番だった。


「あのお兄さん段々イライラしてきてたし、殴ってしまおうかとか言ってたから……」

「灯里ちゃんはあたし達を守ろうとしてくれたのね？」

　確認するようにさくらちゃんに言われ、少し躊躇いながらも「うん」と答える。


　すると美智留ちゃんが大きく息を吐いた。

「灯里の気持ちは嬉しいけど、あたし達の気持ちも考えてよね。あの後本当に怖かったんだから」

　心配させてしまったのは理解しているつもりだけれど、残された方の気持ちは残された人にしか分からないだろう。

　それに、あたしはお兄さんがバカなの知ってたから刺激しなければ何とかなると思っていたけれど、美智留ちゃん達はそれを知らなかったんだし……。


「うん、本当にごめん」

　だからあたしは何度でも謝ることしか出来ない。