「ああ、確かにドキドキするね。これは日高が惚れるのも分かる気がするわ……」

「……」

　だから何でそうなる。


「えっと……メイクはどう？」

「ああ、うん」

　促してやっと鏡を見てくれる。


「へー。こんな感じになるんだ。早和に見せたらどんな反応するかな？」

「……」

　だからそこで小林くんの反応を気にする辺りもう決定でしょう！

　叫びたいけれど我慢だ。


　こういうのはやっぱり自分で気付かないと意味がないし。
　多分今言っても『そうかなぁ？』で終わっちゃうと思うし。


　……やっぱり経験って大事だね。

　あたしも陸斗くんへの想いを自覚するまではその辺り全く分からなかったから。


「さ、じゃあ次はあたしね」

　そう言って美智留ちゃんが沙良ちゃんと交替する。


　その間にさくらちゃんを見ると、ふわふわな髪がしっとりしていて毛先の方だけ大きめに巻かれていた。

　凄く大人っぽくなって、可愛いけれど洗練された美の様なものを感じる。