「んー、どうなのかな?」

 でも沙良ちゃんは良く分からないと頬を掻く。

 その様子は照れているというわけでもなく、頬を染めてもいない。

 本当に分からないといった感じだ。


「顔は好みだし、好きは好きなんだけど……。恋愛感情って言われるとどうなのかな? って感じで……」

『……』

 あたし達は三人揃って黙った。

 美智留ちゃんも手を止めて何とも言えない顔をしている。


 恋かどうかは分からないけれど、小林くんが好きなアイドルと似たようなメイクをしようと思っている時点で似たような感情はあるんじゃないかな?

 え? もしかしてそれに気付いてないとか?


 ……自分の感情となると、分からなくなるものなのかな?

 あたしもそうだったし……。


 と、何だか生温かい目を沙良ちゃんに向けてしまう。

「……まあ、取りあえずこんな感じでメイクしようか」

 小林くんのことはこれ以上触れず、あたしはメイクの準備をした。