「……完成。どうかな?」

 聞くと、さくらちゃんは呆けるようにして動かないまま呟いた。

「……なんか、凄いドキドキした……」

「ん?」

 メイクの感想を聞いたはずなんだけれど、鏡を見ることもせず何の感想を言ったんだろう?


「灯里ちゃんの目が真剣で、引き込まれる様でドキドキしちゃった」

「ええ?」

 そっちの感想?

「いや、メイクの感想聞かせて?」

 そう言ってあたしは鏡を差し出した。


「あっ、ごめん。そうだよね」

 笑って誤魔化しながら自分の顔を確認したさくらちゃんは、軽く目を見開いた。

「……何て言うか……あたし、こんな顔にもなれるんだ……」

 そう言ったさくらちゃんを見た美智留ちゃんと沙良ちゃんは「おお」と揃って感嘆の声を上げている。


「じゃあ、ヘアセットはあたしがやるから、次は沙良やってもらっててよ」

 美智留ちゃんがそう言って、いつの間に準備したのか(くし)やヘアアイロンを準備していた。