杉沢さんが小さく息を呑む。

 そんな彼の肌に下地から塗っていく。


 陸斗くんとは違ってもう少し線が細いタイプの顔立ち。

 アイブロウは色を明るめに、少し細く。

 でも男らしさはしっかりと出るように……。


 アイラインは黒目が大きくなるようにしつつ、切れ長な目を少し強調した。


 口紅は難しかったけれど、オレンジ系をベースにローズ系の色を少し加えて良い色が出来たと思う。

 ティッシュオフしてもらうと良い感じになったと思う。


「おお、マジでメイク上手いんだな」

 とそこでウザ――邪魔なお兄さんの声がした。

「なあなあ、俺もやってみてくれよ」

「……」

 あたしは構わず、視線を杉沢さんから外さず手を動かす。


「おい、聞いてんのか?」

 怒りを含んだ声に、あたしは低く端的に言った。


「黙ってて」

「っ!」