「あれ? 灯里、その人は? 知り合い?」

 まさか白昼堂々襲われるとは思わないし、そう思うのが自然だろう。

 実際、このお兄さんがどういうつもりであたしを捕まえたのか分からない。


 まあ、良い予感はしないけれど……。


「ああ、こいつのダチか? ちょっとコイツ借りるぜ? あと、迎えは日高に来させろよ?」

「は?」

 突然の事態に良く分からない表情を浮かべる三人。

 でも、お兄さんの口の悪さから良い状態ではないんだろうってことは感じ取ったみたいだ。


「……あの、あたし達今校外学習中で、別行動とか困るんですけど。……その子、離してもらえますか?」

 刺激しないようにだろうか。

 極力落ち着いた声音で要望を告げる美智留ちゃん。


 でもお兄さんは面倒臭そうにそれを拒否する。

「チッ、んなもん知るか。ちゃんと帰してやるっつってんだろ? 良いから言う通りにしやがれ!」

「ひっ」