「ああ、まあ。俺の奥サンってとこだ」

 予想通りではあるんだけれど、陸斗くんは納得と言った表情。

「やっぱり……だからあの時あんなこと言ったんっすね?」

「はは、バレたか。ま、何にせよ問題がねぇんなら良かったよ」


 本人達にしか分からない会話をして、その場はお開きになる。

 二人は少し名残惜しそうではあったけれど、アッサリと別れの挨拶をして別れた。


「……」

 あの早瀬という人は誰なのか。

 何の話をしていたのか。


 それを聞いても良いのか分からなくて、あたしはただ無言で陸斗くんを見ていた。


 あたしの無言の訴えに気付いた陸斗くんは、髪とメガネを直してから口を開く。

「あの人は早瀬さんっていって、俺より前の火燕の総長やってた人なんだよ」

 その言葉に驚きつつも、納得する。

 だって、早瀬さんっていかにも不良やってますって感じだったから。