だから、聞くことにした。

「昨日どうしてさくらちゃんにあんなことを言ったの? さくらちゃんは理由を知ってるって言ってたけど、花田くんのプライベートのことだから言えないって。……どうしても無理なら言わなくていいけど、出来れば教えて欲しいなと思って」

「ああ……宮野さんは知ってるんだっけ……」

 そう言って視線を落とした花田くんは、しばらく無言で足を進めたあとポツリポツリと話し出す。


「そんな、大した話じゃないんだ。……ただ、俺がバカだっただけで」

 中学の頃の話だよ、と苦みを抑えるような微笑みで語りだした。


「中二のとき、俺のこと好きになってくれた女の子がいてさ。でも俺、その子はタイプじゃなかったし、友達以上には思えなかった。それでもずっと好意を向けられてたら気にもなってくるし、悪い子じゃなかったからね。多分、ほとんど好きになりかけてたんだ」

 恋愛話にはうといあたしだけれど、何となくは分かる。