そんなこんなで、気不味い雰囲気を継続しながら動物園に到着したあたし達。

 入場してすぐに工藤くんが分かれて回ろうかと提案して来た。


「で、宮野は司とーー」

「日高くん、一緒に行こう!」

「え?」

 二人を仲直りさせようと思ったんだろう。

 工藤くんはさくらちゃんと花田くんでペアにしたかったみたい。

 だけど、当のさくらちゃんがその言葉を遮って日高くんの腕を掴んだ。


「ほら、早く行こう!」

「お、おい、ちょっ!?」

 いつにない程の勢いに日高くんは戸惑い、連れられて行く。


 あたし達もまさかさくらちゃんがこんなに積極的に動くとは思わなかったので、ただ呆然とそれを眺めていた。


「……行っちゃった……」

 誰かがそう呟いて、皆我にかえる。