「……あんまし他の男に近付くなよ?」

「へ?」

 言葉は分かるけれど、意味が分からない。

 彼は突然何を言い出すのか。


「前にも言ったと思うけどよ、お前メイクすると変わるんだよ。そんなちょっとしたメイクでもよく見れば可愛いって思うやつは結構いるんだ」

「そうかなぁ?」

 流石にそこまではいないと思うけど……。


「だから、近付くなよ?」

 近くで念を押される。

「う、うん」

 強い眼差しで見つめられて、それ以外言えなかった。


 あたしが了承するとやっと離れてくれる。

 あんまり近付かれると、今までキスとか色々されたことを思い出してしまうから心臓に悪い。


 うるさい心臓を落ち着かせて皆と共に並ぶと、さくらちゃんの姿が目に入る。

 とにかくあたしのことは置いておいて、さくらちゃんと花田くんがちゃんと仲直り出来ると良いと思った。