「キスされて、あたしが固まってるうちに日高くんは帰っちゃったから……。だからどうしてキスがご褒美になるか分からなかったの」

 あたしが話し始めると、さくらちゃんは口を閉じて黙って聞いてくれた。

 他の二人もあたしをじっと見て聞いてくれている。


「それで、昨日勉強中に筆談でからかったの? って聞いたら、それもあるなって」

「はぁ?」

 途中で沙良ちゃんがそんな怒りの声を上げたけれど、あたしはそのまま続けた。


「で、続けてこう書いて来たの。『でも、本気だ』って」

「それって……」

 軽く息を呑んだ美智留ちゃんが目を見開く。


「あたし、本気でからかってるってこと? どういうことなの? って良く分からなくて……。日高くんの顔を見たら何だか真剣な顔だったし……それで余計分からなくなって逃げちゃったんだけど……」

 そこまで話して、あたしは意を決して顔を上げ三人に聞いた。