だから、少し早い気もしたが一歩進んでみることにした。


 俺に早寝とスキンケアをやらせたいあいつ。

 出来ればやりたくねぇ俺。

 交換条件にご褒美をくれるならやってやると告げた。


 まあ、不審には思っていたみてぇだけど結局あいつは了承する。


 その言葉を撤回されないうちに、俺はあいつのふっくらした食べ応えのありそうな唇に吸い付いた。

 触れるだけに(とど)めたけど、好きな女の唇に触れた喜びに俺の中の獣が身じろぎする。

 そいつが暴れ出さないうちに離れた。

 それは、まだ早い。


 倉木には予想外の“ご褒美”だったろうから、当然固まっていた。

 そんなあいつに別れの挨拶をする。

 名前を呼び捨てにして。


 さて、これで少しは意識するだろうか?


 そう楽し気に思いながら帰って来た。



 回想を終えて、俺は起き上がる。

 ちゃんとメイクを落としてスキンケアもしねぇとな。

 早寝もしなきゃねぇから、さっさと夜メシも食わねぇと。


 またあの唇を味わうために、健気に頑張ってやるとするか。