「さくらちゃんのお菓子も食べてみたいなぁ」

 照れ隠しもあってそう言ってみる。
 食べてみたいのも本当だけど。


「うん、宮野さんのお菓子も食べてみたいね。いつでもいいから、作って来てよ」

 あたしのマフィンを食べながら花田くんがそう言うと、さくらちゃんは「う、うん!」とそれはそれは嬉しそうに頷く。


 近くで美智留ちゃんがあたしに向けてこっそり親指を立てていた。

 グッジョブ灯里! と言っている気がする。


 狙って言ったわけじゃないけれど、良い感じにアシスト出来たみたいだ。


 何だかんだでみんなが食べてくれて良かった。

 そんな風に嬉しく思っていると、最後に日高くんがマフィンに手を伸ばす。


「……何で俺に作って来たものを他の奴が先に食べるんだよ」

「え? でもそこまで食べたそうにはしてなかったよね?」

 聞くと、「そうだけどよ……」と何故か拗ねた様に言われた。