しかし、彼女は足を止める。

次いで、こちらに視線を移す。


彼女と瞳が合った。


何故か、そう感じた。


ぼくの姿を見て、彼女が指を伸ばして来る。

白くて細い、綺麗な指。


彼女の指は、ぼくの頭上まで近付き、離れる。

離れた、その指には薄いハンカチが握られている。