「あたしが柴崎仁奈です。」


2人の視線が絡み合った。


「でも…名字が…」


『堺』と『柴崎』


俺が今混乱してるけど、名字が違うことくらいわかる。


「あたしの親…離婚したんです。母についていったので名字も変わって…」


堺さんが視線を落とす。


「そっか…。」


俺たちは家族ぐるみで仲良かったから…にぃの親だってちゃんと知ってる。


あんなに仲良かったのに…。


「大和先輩はあたしが前にした詞についての話覚えてますか?」


ポケットから詞が書いてある紙を出し広げる堺さん。


いなくなってしまった幼なじみへの詞。


今日も聞いたというのもあるけど…


「もちろん覚えてる…あ…」


今気づいた。