「希、聞いて欲しい事がある。」
深刻な顔をしてお父さんは言う。
「希は今年で中学生になるから伝えようと思うの。」
とお母さんが続ける。二人の顔にはいつものような笑顔がなかったから何だか怖かった。
「…あのね、お母さんは末期ガンなの。余命は三ヶ月くらいでもう完治する見込みはないみたい。」
「どういうこと?」
意味がが分からなかった。お母さんは身体が弱いけど、私が大人になっても一緒だって信じていたのに。私の成人式や結婚式にはお母さんがいるって信じていたのに。
「お母さんが希と一緒にいられる時間は少ないということだ。」
とお父さんが重々しく言う。受け入れられなかった。大好きなお母さんが私の隣から離れるなんて。これから先、お母さんのいない日々を過ごすなんて。どうしても受け入れられなかった。