なぜそんなことを知っているの?
戸惑う私に、彼は続けた。
「俺、いつもここにいるから分かるんだよね」
「え…」
そういえば、確かに彼がいるそのベッドはいつもカーテンが閉められていた。
布団などを置くための物置用ベッドなのかと思い、特に気にしたことはなかったけど。
じゃあ、もしかしていつも私がここで泣いていたとき、彼は横で聞いていたってこと!?
そう思うと、顔が赤くなる。
「ご、ごめんなさい!聞き苦しい声を聞かせてしまって…」
私は彼に向かって、ベッドの上で土下座をした。
「あーいや、俺も今は眠かったから強く当たってごめんね?」
顔をあげると、彼はふわっとした優しい顔で笑っていた。
うわ…この人よく見るとすごくかっこいい。
風になびく黒髪に、透明感溢れる肌、鼻筋は高くくっきりとした二重。
制服は少し着崩していて、シャツは第二ボタンまであいていた。
謎に惹かれる魅力がある。
そんな雰囲気だった。