人差し指でそれを拭うと、濡れていた。
「あれっ…なんで今更涙なんて…」
どれだけ拭っても止まらない。
どんどんどんどん、溢れ出す。
「っ…ひな…たぁ……」
今になって、感情が追いついてきた。
好き…大好き。
世界で一番大好きだった人。
日向との思い出が走馬灯のように頭の中に流れる。
小さい頃、初めて日向と出会った日。
お母さんの後ろに隠れて、もじもじしていた日向。
私が『よろしくね』と手を差し出すと、今と変わらないあの笑顔で『よろしく』って言ってくれたんだ。
今思えば、あの時から私は日向のことが好きだったのかもしれない。
小学生、二人で行った初めての夏祭り。
日向から貰ったりんご飴が、どれだけ嬉しかったことか。
中学生、バレンタインの日、少しドキドキしたけど日向に初めてチョコをあげた。
他の女子からもたくさん貰ってたけど、私のチョコが一番嬉しいって言ってくれたこと今でも覚えてるよ。