「あの…それって…」
聞いたらおしまいだと分かっていても、聞かずにはいられなかった。
違う、絶対に違う、自分に言い聞かせるように心の中で唱える。
けれど、私の淡い願いなんて叶うはずもなく…
「今日の昼休み、葵先輩に告白するって決めてたんだよ、日向」
そう、言った。
私の中で、何かが崩れるような音がした。
気づいたら、教室を出て廊下を走っている私。
後ろで、男子が何かを言っていたような気がするけど、私の耳には今何も聞こえない。
嘘だ…嘘だと言ってよ…!
日向っ…違うよね?告白なんてしてないよね?
きっと、部活か何かの相談だよね?
何の根拠もない言葉を何度も何度も繰り返す。
屋上へと続く階段を一気にかけ登った。