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ない。


ない。


英語の辞書がない！




3時間目の前の休み時間、鞄の中をいくら探しても出てくるのは違う教科書。




私はあまり置き勉をするタイプではないため、ごく稀に忘れ物がある。




今日は完全にやらかしてしまったようだ。




しかも、忘れ物に厳しい英語の先生の授業で。




隣の席の人から…と思っても、そこは空席だし。




仕方ない、他のクラスの人から借りるしかない。




他のクラスの人 といっても、借りられる人はもちろん一人しかいない。







「日向ごめん、英語の辞書借りてもいいっ？」




隣のクラスに移動し、大人数で戯れてる男子の中に声をかける。




これって、かなり緊張するもんだな…。




男子 というだけで何らかの壁があるというのに、大人数となるとなかなかのものだ。




「うんいいよ〜、ちょっと待っててね！」




そう言うと、日向は席を立ち後ろのロッカーへと向かった。